はじめての車検まとめ

車を所有するために避けて通れない、車検。車を何年も運転している方であれば車検は当たり前のものですが、初めて車を持った方にとってはよくわからないものの1つといえるでしょう。ここでは、車検とは?!の疑問について、車検の内容や種類、費用、注意点など、車検に関する基礎知識についてまとめました。

車検とは何か

車検とは、自動車検査登録制度の略称。所有している車が安全に運転できるものであるか、検査する制度です。

車検は道路運送車両法という法律で、必ず受けなければならないと決められています。車検を受けていない車は安全性が確認されていないとみなされてしまうのです。そのため車検切れの車で公道を走ると、法律違反となってしまいます。

車検の有効期間とは

車検には、道路運送車両法第61条「自動車検査証の有効期間」で定められた有効期間があります。車の所有者は、一定の有効期間ごとに車検を受ける義務があります。

実際に車検が受けられるのは、有効期限の30日前からで、どのタイミングで車検を受けたとしても、満了日は変わらずに計算されます。ただし、利用する車検代行業者によって予約タイミングが異なるため、計画的に車検計画を立てておきましょう。

また、この有効期間は自動車の種別ごとに違います。自家用車乗用車、軽乗用車では、新車登録時が3年、以降は2年ごとです。軽貨物自動車、大型特殊自動車、キャンピングカーなどの有効期限は、新車登録時もそれ以降も同じ2年ごととなります。

車種別有効期限

車種新車登録2回目以降
自家用自動車3年2年
軽自動車3年2年
軽貨物自動車2年2年
大型特殊自動車2年2年
キャンピングカー2年2年

車検の有効期限を確認する方法

車検の有効期限は、車検ステッカーと車検証の2つで確認できます。

自動車のフロントガラスに貼られている、数字の書かれたシールを見たことがあるでしょうか。車検終了後に発行され、記載されている数字は車検が満了になる年月を表しています。

もうひとつ車検の有効期限を確認できるのが車検証です。

自動車が保安基準を満たしていることを証明する書類であり、自動車の個体情報や所有者の個人情報、有効期限が年、月、日まで記載されています。正確な満了日を把握するためには、車検証がもっとも適しています。

車検に必要なもの

車検を受けるためには、書類などいくつか必要なものがあります。車検代行業者に車検を依頼する場合と自身でユーザー車検を受ける場合で必要なものは異なります。

まず、車検代行業者に車検を依頼する場合は以下のものが必要です。

  • 車検証
  • 自動車損害賠償責任保険証明書
  • 自動車税納税証明書
  • 使用者の認印

自動車税納税証明書は、自動車税を滞納していない、自動車税を納付してから3週間経過しているという2つの条件を満たしていれば、提出不要です。車検証は通常、車内のダッシュケース内にある車検証入れの中に保管してあるので、車検を受ける前に確認しておきましょう。

次に、ユーザー車検を受ける場合に必要なものは以下のとおりです。

  • 車検証
  • 自動車損害賠償責任保険証明書
  • 自動車税納税証明書
  • 使用者の認印
  • 自動車検査票
  • 自動車重量税納付書
  • 継続検査申請書
  • 定期点検整備記録簿

自動車検査票と自動車重量税納付書、継続検査申請書は、車検を受ける当日に運輸支局で入手するものです。当日入手して必要事項を記入し、窓口に提出しましょう。また、定期点検整備記録簿は、車検の前に法定点検が終わっている場合に必要なものです。車検後に法定点検を行う場合は不要なので、ないからといって慌てないようにしましょう。

車検に必要な費用とは?

「車検は高い」という話が出る通り、車検には一定額以上の費用が掛かります。その費用の中には、法律で定められた必ずかかる費用と、車検代行業者によって差が出る費用があります。

車検時に必ずかかる費用には、以下の3種類が含まれています。

自動車重量税

自動車本体の車体重量に対して課せられる税金です。この税額は以下の要素によって変わります。

  • 車体の重量
  • エコカー減税対象
  • 初回登録からの経過年数

これは自動車重量税法によって定められている税金のため、選んだ業者によるサービスにより納税額が変わることはありません。

自賠責保険

自動車および原動機付自転車に乗る際に加入が義務付けられている保険です。正式名称は「自動車損害賠償責任保険」。必ず加入しなければいけないということから、強制保険と呼ばれることもあります。

自賠責保険は、毎年金融庁が行う「自動車損害賠償責任保険審議会」により税額が定められます。契約は民間の保険会社と行いますが、法的な拘束力のある保険であることから、保険料を保険会社や車検代行業者が割り引くことはできません。

検査手数料

車検手続きを行うための「自動車検査登録印紙」および「自動車検査証紙」に支払う費用です。証紙に張る印紙を購入するところから「印紙代」とも呼ばれます。

車種により金額が異なっており、3ナンバー車は1,800円、5ナンバー車は1,700円、軽自動車は1,300円となっています。ただし地方運輸局長の指定を受けた民間整備工場である「指定工場」で車検を行う際には、車種に関わらず一律1,200円とされます。

これもまた、車検代行業者が割り引くことは出来ません。

車検代行業者に支払う費用

車検を代行する業者はいくつもの業態があります。手厚いサービスを行う代わりに費用が高い業者、最低限の検査を行うだけで費用は安い業者など、自分の車の状態に応じて依頼する業者を選ぶのがいいでしょう。

ディーラー

自動車メーカーと特約を結ぶ自動車販売店です。販売するメーカーの自動車に対する知識はどこよりも豊富。メーカー独自の検査方法も活用できるため、検査の精度には信頼が置けます。

パーツに問題がある場合にはメーカー純正品のパーツと交換できるため安全性も高く、また法定点検の項目以上の点検・整備を行ってくれるため、車検を機に徹底的な改善を依頼するユーザーも少なくありません。

サービスが手厚い分、車検に関わる費用も高くなる傾向があります。また検査終了時にはベストな車の状態を作るため、依頼をしなくても耐用年数よりも早いタイミングでパーツや消耗品の交換を提案されることもあります。

支払う車検基本料は4~5万円ほどが相場ですが、パーツの交換を行う際には、高額な純正パーツを使用するため、合計金額は高くなりやすい業者です。

民間整備工場

民間で運営する整備工場であり、特定のメーカーに限定しない様々な車種の修理や整備を行えます。工場により腕前や経験にばらつきがあり、高度な技術をもつ工場もあれば、難しい修理や整備に対応できない工場もあり、また全般的に近年増加傾向にある電子制御への対応が遅れている傾向があります。

民間整備工場は「認証工場」「指定工場」に分類されます。指定工場は工場内に車検用の設備を持っているため、その工場内で車検に必要な検査が完結。「1時間以内車検」といったスピードを売りにする業者もあります。認証工場は車検用の設備を持たず、運輸支局へ出向いて検査を行うため、車検完了まではある程度の時間が必要です。

車検基本料は3万円~5万円が相場。ディーラーよりはやや安めですが、指定工場の中にはスピード対応を前提に、ディーラー以上の手数料を設定する工場もあります。

カー用品店

自動車のパーツ・消耗品などを販売するカー用品店でも車検代行を行っています。指定工場としての設備を持った新店舗も増えており、交換する消耗品は自店で売っている安い商品を活用できるのが魅力です。

ただし、ディーラーや民間整備工場に対し大規模な整備に対応しにくい傾向があります。また古い店舗には車検設備が無いところも多いため、店舗によって代行できる内容に差があります。

車検基本料の相場は1万円~3万円と比較的安価。前もってどんな車検対応ができるかは確認しておきましょう。

ガソリンスタンド

街中のガソリンスタンドも車検代行業者の一つです。土日祝日いつでも受け付けてくれる気軽さが魅力。店舗によっては24時間対応可能なところもあります。消耗品類も店舗で扱っているため、気軽に交換・補充の相談ができます。

車検において、法定点検は行えますが、一定以上の整備には対応できないこともあります。また整備や部品交換は最低限しか行いませんが、その分車検代行費用は安く、車種によっては1万円を切ることもあります。

日ごろから小まめに整備し、トラブルが起きない自信がある場合には適切な代行先でしょう。

車検代行業者

車検に関わる手続きをまとめて引き受けてくれるのが車検代行の専門業者です。店舗に指定工場の設備を持ち、短時間の整備・調整のみ行うなら1万円~2万円、念入りな検査を行っても2万円~3万円と、安価で済ませられるのが大きなメリットです。

ただし、ガソリンスタンド同様一定以上の整備には対応できないため、部品交換や重点的な整備が必要な場合には別の業者を選びましょう。

ユーザー車検

車検代行業者に依頼せず、ユーザーが自分で車検を行うこともできます。この方法は「ユーザー車検」と呼ばれており、必要な書類を自分で用意することで、代行業者に支払う手数料をゼロにすることも可能です。

ただし、運輸支局での車検は平日のみ受け付けているため、土日休みの仕事の場合には休みを取らなければなりません。また車検に必要な24か月点検には個人で行うのが難しい項目もあるため、点検だけ整備工場などに任せるというケースもあります。

車検が切れた場合はどうしたらいい?

車検そのものは有効期限が切れた後でも受けることができるため、車検切れになったからといってその車に乗れなくなることはありません。

ただし、車検切れの車は公道を走ることができないため、車を車検業者や検査場に移動させる手段が必要になります。

車検切れの車の移動方法は大きく分けて2つあります。

レッカー車で引き取りに来てもらう

レッカー車や積載車を取り扱っているロードサービス・輸送サービス業者などに依頼することで、車を引き取りに来てもらえます。

ディーラーや整備工場でもレッカー移動を取り扱っている場合があるため、車検の申込時に相談してみましょう。

ただし、ロードサービスの中には無車検車の移動を断られる場合があるため注意が必要です。

レッカー車でけん引する際、前輪または後輪を路面につけて転がすため無車検車走行とみなされる可能性があるからです。

仮ナンバーを取得する

仮ナンバーとは、限定した経路であれば無車検車でも走行が許可されるナンバーのことです。

市区町村役場や運輸支局にて申請を行えば取得することができ、取得から最長5日間が経過するまでは公道を走行できるようになります。

ただし走行が許可されるのは車検をする場所までの移動に必要な経路に限られるうえ、走行は期限中1度きりしか許可されないため注意が必要です。

また、仮ナンバーを取得しても自賠責保険に加入していなければ走行することはできません。

車検切れのまま放置しておくと刑事処罰の対象になる

車検が切れたらどんなペナルティがあるのでしょうか?

車検のみ切れた場合

車検が切れただけでは特に罰則はありませんが、車検切れたまま公道を走った場合にペナルティが発生します。具体的には、下記の罰則が法律で定められています。

・刑事処分:6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

・行政処分:違反点数6点(前歴がなくても30日間の免停処分になる)

自賠責保険が切れている場合

また、車検が切れた時には、車検時に加入する自賠責保険も切れた状態になっていることが多く、その場合には下記の罰則も適用されます。

・刑事処分:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

・行政処分: 違反点数6点

車検切れと自賠責保険切れの場合

車検切れと自賠責保険切れの刑事処分の罰則は合算され、最大で1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金に処される可能性があります。

ただし、行政処分については合算されることはなく、より高い点数の方が適用されるというルール(道路交通法施行令別表第2備考1-1)があるため、違反点数は6点のままとなります。

まとめ

車検切れで車を運転することには厳しいペナルティがあります。決して車検切れの車で公道を走ることがないように注意しましょう。

また、車検を受ける際にはさまざまな準備が必要です。スムーズに車検を済ませるには書類の準備やどのようにして車検を行うか事前に決めておきましょう。
車検は車検代行業者を利用して行うこともできますので、まだ車検の経験がないという方は、利用してみてはいかがでしょうか。業者によって得意としている分野が異なっておりますので、業者選びを慎重に行う必要があります。車検の準備は早めにしておくことをおすすめします。

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